[ネタバレ注意]『みいちゃんと山田さん』第2巻|「普通」に生きたいニナと、助けにつながれなかったみいちゃん

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今回は、「普通」に生きようとして失敗を重ねるニナちゃんと、彼氏マオによって生活が崩れていくみいちゃんが描かれる『みいちゃんと山田さん』第2巻の見どころ&感想記事です。
(※ネタバレを含みます。)

その表紙がこちら。

みいちゃんと同じキャバクラで働く、黒と白を基調としたドレス姿の「山田さん」が可愛らしく表紙を飾っています。

ちなみに、「山田」というのは、みいちゃんに本名を聞かれた際に、とっさに名乗った偽名がそのまま定着したものなんですよね

この先、みいちゃんとの関係が深まるにつれて、いつか彼女の本名も明らかになるのでしょうか?

 

さて、前巻では山田さんによる雑誌の読み聞かせや、専用コップに描かれた似顔絵を通して、みいちゃんに小さな居場所が作られていきました。

一方で、支援につながった幼馴染のムウちゃんが登場し、みいちゃんにも今とは違う道があったことが示されます。

ただ、支援する制度が存在することと、本人がそこへつながれることは別なんですよね…。

この第2巻では、ニナちゃん、シゲオ、マオといった新しい人物が物語に加わる一方で、みいちゃんの出生や小学生時代も明らかになります。

なぜ、みいちゃんは危険な状況から離れられないのか?

そして、彼女が今の場所へ来るまでに、助けにつながる機会はなかったのでしょうか?

そんな彼女の目を背けたくなるような過去が、生々しく描かれていきます。

 

今回の記事では、そんな『みいちゃんと山田さん』第2巻の見どころを、感想も含めてまとめてみました。

ネタバレを含みます。ご注意ください。

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『みいちゃんと山田さん』1巻の振り返り

前巻の内容を振り返りたい方は、以下の記事に『みいちゃんと山田さん』第1巻の見どころをまとめているので、こちらから先にご覧ください。

 

『みいちゃんと山田さん』2巻(6話〜11話)の見どころ&感想[ネタバレ]

それでは、さっそく『みいちゃんと山田さん』第2巻の内容に入っていきましょう。

「普通」に生きようとしてきたニナは、みいちゃんと同じなのか?

この第2巻では、みいちゃんと山田さんが働くキャバクラ「Ephemere(エフェメール)」に、ニナという新しいキャストが入店します。

ニナは大学を卒業して一般企業で働いていたものの、仕事で何度も失敗を重ねていました。

そして、夜の街へ移ってからも、忘れ物や仕事上のミスが続いてしまいます。

次はきちんとやろうとしても、同じような失敗を繰り返してしまうニナ。

自分が周囲と同じように働けていないことを理解しているからこそ、その現実から目を背けることもできません。

そんな彼女に対して、みいちゃんは自分と似た存在を見つけたように親近感を向けます。

しかしニナは、みいちゃんと同じ存在として見られることを、素直に受け入れられませんでした。

みいちゃんから悪意のない言葉を向けられるほど、自分まで周囲から同じように見られているのではないかという不安が強くなっていきます。

だからといって、ニナがただみいちゃんを見下している、という話でもないんですよね。

ニナはこれまで、自分の失敗を自覚しながら、なんとか「普通」の側へ近づこうとしてきました。

みいちゃんへの拒絶には、彼女に対する苛立ちだけでなく、うまく生きられない自分自身へ向けてきた厳しさも重なっているように見えます。

第1巻のムウちゃんが「支援につながることができた人物」なら、ニナは『周囲と同じように生きようとして、何度もつまずいてきた人物』です。

同じように生きづらさを抱えていても、困っていることの表れ方や、自分自身への向き合い方はまったく同じではありません。

ニナがみいちゃんとの違いをどのように捉え、最後にどんな選択をするのか。

ふたりの表情や言葉は、ぜひマンガの絵と一緒に確かめてみてください。

ちなみに、単行本にはニナのその後を描いたエピソードも収録されています。

第7話だけでは見えない彼女の未来まで読める点も、第2巻を単行本で読む見どころのひとつです。

 

みいちゃんの彼氏・マオの暴力で、みいちゃんの生活が壊れていく…

ニナのエピソードに続いて登場するのが、みいちゃんを指名する客のシゲオです。

シゲオは、みいちゃんの接客を「自分だけに向けられた好意」だと思い込み、彼女との間に特別な関係があると考えていました。

しかし、みいちゃんの口から彼氏の存在を告げられ、その期待はあっさりと崩れてしまいます。

そして第9話では、その彼氏であるマオと、みいちゃんの関係が描かれていきます。

マオはみいちゃんに暴力を振るうだけでなく、彼女へ金を用意するよう求めていました。

みいちゃんは負傷し、それでもマオへ渡す金を工面するため、路上で身体を売るところまで追い込まれていきます。

第1巻でも、みいちゃんが自分の身体を、人との関係をつなぐ手段のように捉えていることが明らかになっていました。

この第2巻では、その危うさが、マオから暴力を受け、金まで求められる状況へ直接つながってしまいます。

マオだけを切り離して「悪い彼氏が現れた」と考えるだけでは、みいちゃんがこの関係から離れられない理由までは見えてきません。

人から必要とされるために身体や金を差し出してしまうことや、自分が置かれている危険を十分に判断できないこと。

それまでに描かれてきた複数の危うさが重なり、みいちゃんの生活を壊していきます。

そんな中、山田さんは負傷したみいちゃんの部屋を訪れました。

そこで、みいちゃんが作った故郷・宮城の郷土料理「はっと汁」を一緒に食べることになります。

料理を囲むだけなら、ふたりの距離がさらに縮まる穏やかな場面です。

しかし、その会話の中で、みいちゃんの両親が実の兄妹であるという、彼女の出生に関する重大な事実が明かされます。

みいちゃんが抱えている問題は、今の恋人や本人の行動だけが原因ではありませんでした。

親世代も生活や養育に大きな困難を抱え、その中でみいちゃんが育てられてきたことが見えてきます。

店で少し庇う関係から、みいちゃんの生活と家庭の内側へ踏み込む関係になった山田さん。

出生の事実を聞いた山田さんがどんな表情を見せ、ふたりがどのような言葉を交わすのかは、ぜひご自身で読んで確かめてみてください。

 

須崎先生が差し出した支援の手は、家族によって止められてしまう

みいちゃんの出生が明らかになったあと、第11話では彼女の小学生時代へと物語が遡ります。

当時のみいちゃんは、身なりや学校生活の中に、家庭で十分な養育を受けていないことがうかがえる状態で過ごしていました。

周囲の子どもたちと同じように授業を受け、人間関係を築くことも簡単ではありません。

そんなみいちゃんの困難に気づいたのが、担任の須崎先生でした。

須崎先生は、みいちゃんが別の環境で学べるよう、家族に支援学級への移行を提案します。

つまり、みいちゃんには、子どもの頃に一度も助けの手が差し出されなかったわけではないのです。

しかし、その提案を母と祖母は受け入れませんでした。

みいちゃんに必要な環境よりも「周囲からどう見られるか」という母や祖母の思いが優先され、支援へつながる入口が閉じられてしまいます。

第1巻で登場したムウちゃんは、服役をきっかけに手帳を取得し、福祉の助けを受けながら生活を立て直そうとしていました。

一方のみいちゃんにも、もっと早い段階で別の環境へ進める可能性があったことになります。

もちろん、支援学級へ移れば、彼女が抱える問題のすべてが解決したとまでは言い切れません。

ただ、本人に合った学び方や専門的な支援へつながる、ひとつの入口にはなったはずです。

「助けの手がなかった」のではなく、差し出された手がみいちゃん本人へ届く前に止められていた。

この事実によって、今のみいちゃんを見て『本人がもっと頑張ればよかった』だけでは片づけられないことが、さらに分かってきます。

須崎先生と家族がどのような言葉を交わし、その場でみいちゃんが何を見ていたのか。

小学生時代から現在へつながる大切な場面はぜひ絵と一緒にご自身で読んでみてください。

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まとめ

『みいちゃんと山田さん』第2巻では、ハムカツ、ニナ、シゲオ、マオと新しい存在が次々に加わり、みいちゃんを取り巻く人間関係が大きく広がりました。

ただ、この巻で最も大きく見えてくるのは、「みいちゃんには助けがなかった」ということではありません。

助けへつながる道があっても、本人の認識、周囲の思い込み、家族の判断などによって、その道が途中で切れてきたことです。

ニナは、自分が周囲と同じようにできないことを理解しながら、「普通」に近づこうとします。

一方のみいちゃんは、自分が置かれている危険や、助けが必要な状態を認識すること自体が簡単ではありません。

ふたりの違いは、どちらが優れているかという話ではなく、困難の表れ方や、これまで置かれてきた環境の違いとして描かれているんですよね。

また、上記では詳しく触れませんでしたが、みいちゃんが愛着を注ぐハムスターのハムカツも登場します。

小さな家族を大切にしようとする姿が見える一方で、みいちゃん自身の生活環境を知ると、その飼育には別の危うさも重なります。

シゲオの勘違いも含め、この第2巻では、みいちゃんだけでなく、彼女の周囲にいる人たちの認識のずれが次々に描かれていました。

そして、物語は小学生時代から、さらにその先のみいちゃんの過去へ続いていきます。

彼女は中学生時代に何を経験し、それが現在の人との関わり方へどうつながったのでしょうか?

12ヶ月後に待つ死を知っているからこそ、助けにつながれたかもしれない過去が明らかになるほど、その未来の重さも増していきますね…。

 

『みいちゃんと山田さん』が刺さった人にオススメのマンガ

『みいちゃんと山田さん』のような、人間関係や家庭環境に問題を抱えた人物の物語が気になった方には、以下の2作品もオススメです。

普通じゃない母親との歪な親子関係が気になる方は、『虐幸のくるちゃん』の記事もあわせてご覧ください。

 

家庭環境などに問題があり、生きづらい毎日を送っている子供たちの物語が気になる方は、『それでも、親を愛する子供たち』の記事もあわせてご覧ください。

 

以上、『みいちゃんと山田さん』第2巻の見どころ&感想記事でした。

ありがとうございました。