[ネタバレ注意]『血の轍』第12巻|鑑別所での“内省”で静一は“ママ”と決別することができるのか…

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今回は、累計160万部を突破した「究極の内省エンタメ」と銘打たれる歪な毒親とその息子の関係を描いた『血の轍』、その第12巻の見どころ&感想記事です。
(※ネタバレを含みます。)

その表紙がこちら。

血の轍(12) (ビッグコミックス)

無表情に、そして不気味にこちらを見つめるのは、髪を切って前髪が短くなった静一の母親・静子です。

 

〜追記〜
第13巻以降の最新記事一覧はこちら↓
『血の轍』の記事一覧

 

さて、この『血の轍』コミックス第12巻の帯には、あのお笑い芸人・狩野英孝さんの推奨コメントが掲載されていました。

押見先生!攻めすぎ!
「母の愛は海よりも深いはずが、深すぎて、暗く、冷たく、溺れてしまう程の愛に家族崩壊!」

引用:『血の轍』コミックス第12巻帯より

確かに、母の愛が深いのは本来素晴らしいことではあるのですが、この作品ではそれが行き過ぎると“毒親”になってしまう、というケースを最悪の形で描いているんですよね…。

しかもこの第12巻ではこれまでの数々の“最悪”をさらに上回るような、より衝撃的で絶望的な事態が静一の身に襲いかかることになります。

僕も初めて読んだ時はかなりのダメージを受けたので、今から読む方は十分な覚悟を持ってお読みください…。

 

今回の記事では、そんな『血の轍』の第12巻の見どころを、感想も含めてまとめてみました。

ネタバレを含みます。ご注意ください。

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『血の轍』11巻の振り返り

前巻の内容を振り返りたい方は、以下の記事に『血の轍』第11巻の見どころをまとめているので、こちらから先にご覧ください。

[ネタバレ注意]『血の轍』第11巻|“自分の中のママ”に全否定された静一は衝撃の行動に出る…!

 

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『血の轍』12巻の見どころ&感想[ネタバレ]

それでは、さっそく第12巻の内容に入っていきましょう。

鑑別所で内省の日々を送る静一を“ママ”の存在が苦しめる

この第12巻は前巻の続き、しげるを崖から突き落として殺し、鑑別所に収監されることになった静一の様子から描かれていきます。

そこで彼は調査官に「なぜこの非行に至ったのか」などを質問される中で「お母さんのこと」についても聞かれ、答えられなかった静一は「喋りたくなければ書いてみて」と1冊のノートを受け取りました。

その後、お父さんとの面会で「自分のやったことを知ったママはただ黙って泣いていた」ということを知り、その日の夜から1週間、彼はもらったノートにぐちゃぐちゃになった“ママへの感情”を書き殴ったのです。

そのうちの見開き1ページがマンガ内でも再現されていたのですが、真ん中に涙を流す静子の顔が大きく描かれており、その周りに静一の“ママ”に対する疑問やこれまで“ママ”からかけられてきた言葉がぎっしりと書き込まれていました。

とはいえ、今はまだ「自分のことがわからなくなっている」程度の様子で踏みとどまっている静一。

しかしここから、とある出来事をきっかけに彼の精神はどんどんと崩壊していくことになります。

 

上記のシーンの途中では静一の夢の中で“とても美しい静子”の姿が描かれており、そのせいで直後の“ノートに描かれた静子”を見た時はそのギャップでかなりの衝撃を受けたのを覚えています。

今回の第12巻では、この“静一の絵”も含めて彼の精神描写が本当に押見先生にしか描けないようなおぞましい絵で何度も表現されていくので、決してこのブログの文字だけの内容で満足はしないでいただきたいですね。

 

母・静子の“不起訴”をきっかけに静一の精神は崩壊し始める

ある日、検事の人から「お母さんについて聞きたいことがある」と聴取に呼ばれた静一。

そこで彼は、“ママ”が今になって「本当はしげるを突き落としていない」「勝手に落ちたんだ」と供述していることを聞かされ、改めて「お母さんがしげるくんを突き落としたのを見たんだよね?」と問われます。

すると静一は「自分の願望でそう見えたのかも…」と自信なく口にし始め、次第に「もしママがやってないなら…今までの僕はなんなん?」と取り乱し始めたのです。

そして後日、母・静子は証拠不十分で不起訴となり釈放されました。

「ママが帰ってきた」「ママが会いに来る」と聞いて、決別を試みたはずの“ママ”に想いを馳せる静一。

しかし、その後何日経っても何度面会をしても“ママ”は会いにこないまま、静一は審判の日を迎えることになります。

 

まさかここで静子が不起訴になる展開は予想外でしたね…。
ただ狂気に身を委ねていただけではない、静子の強かさが垣間見えたワンシーンでした。

また、「ママが会いに来る」と期待し続ける静一を見ていると、改めて静子が彼にかけた“呪縛”の根深さが見て取れました。

そしてこの後、静子自身によって“呪縛”から解放された(させられた)静一が衝撃的な行動に打って出ることになります。

 

審判の日、静一の前に姿を表した静子が語ったこととは?

審判の日、これまで面会に来なかった静子がついに静一の前に姿を表しました。

しかし彼女から静一にはなにひとつ言葉がかけられることはなく、そのまま彼の審判が始まってしまいます。

初めは形式通り進められそれに対して受け答えをしていた静一でしたが、「しげるの死」について質問された際に「シゲちゃんは意味なく死にました」と答えたあたりから雲行きが怪しくなり始めます。

そして、「お父さんお母さんは静一君を見ていてどう思っていましたか?」という質問に静子が口を開いたかと思いきや、彼女は質問への答えではなくいきなり「私はやめます。母親を。」と宣言したのです。

「黙ってください」という注意も無視して、母親になる前、そしてなった後もずっと抱え続けてきた想いを口にし続ける静子。

「もう捨てます。子供を。」「これから私の人生が始まるの」「ありがとう。人殺しになってくれて。」

そんな言葉を吐いた静子は退室を促された時には晴れやかな顔をしており、最後に静一に笑顔を向けて「バイバイ」と言い放ちました。

その言葉を聞いた瞬間、静一は“ママ”に飛びかかって服を引っ張り、倒した彼女の上に馬乗りになったのです。

見たこともない表情を“ママ”に向ける静一がその後どんな行動を取ったのか。
そのシーンはぜひ絵と一緒に、ご自身の目でご覧ください。

「今すぐそのシーンを読みたい!」という方は以下の記事にこの『血の轍』第12巻を無料、またはお得に読める方法をまとめているので、ぜひご活用ください。

 

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まとめ

数々の衝撃展開を生み出してきたこの『血の轍』において、僕はこの第12巻が過去最高にショックを受けましたし、読んでいてとても苦しかったです…。

静一は“ママ”という存在にどこまで苦しめられるんでしょうね…。

しげるを殺した時に「静一はもう落ちるとこまで落ちた」と思ったのですが、まさか静子の手によってさらにどん底まで突き落とされるなんて思ってもみませんでした。

そして気になる次巻では、なんと時が平成6年から23年後の平成19年にまで飛んでしまうようなのです。

中学生から30代になった静一は一体どんな人物となり、どんな生活を送っているのでしょうか?

また、“ママ”の呪縛からは解放されているのでしょうか?

次巻から始まる「新章」も目が離せません。

 

〜追記〜

『血の轍』13巻の感想記事

以下の記事に、本章開幕となる『血の轍』第13巻の見どころをまとめています。

合わせてご覧ください。

 

以上、『血の轍』第12巻の見どころ&感想記事でした。
ありがとうございました。

 

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