[ネタバレ注意]『山劇』最新第1巻|『少年のアビス』の峰浪りょうが描く、或る山を舞台にした愛憎の物語
今回は、祖父との思い出が残る山を舞台に、男女3人の高校生の間で渦巻く人間関係と愛憎を描いた、『山劇』第1巻の見どころ&感想記事です。
(※ネタバレを含みます。)
その表紙がこちら。

ちょうど目の位置に穴が空いた大きな落ち葉を持っているのは、このマンガの主人公である笹埜美駒です。
この仮面のような落ち葉は彼のものではないのですが、作中で重要な役割を担うアイテムになっています。
さて、僕はこのマンガを初めて知った時、表紙や公式サイトの雰囲気から、山を舞台にしたサスペンス作品なのかと思っていました。
実際に冒頭では、血まみれの男性らしき人物が紅葉した葉に覆い隠されているような場面が描かれており、この出来事をきっかけに物語が動き始めるのかと予想したんですよね。
しかし、第1巻を読んだ印象としては、事件や謎を追いかけていくサスペンスというよりも、登場人物同士の人間関係や、その奥底にある感情を描いた作品に感じました。
また、公式サイトにも「或る山に渦巻く憎しみの物語」「歪みきしみ合う理想という呪い」「憎悪という救い」とあり、山を舞台にしながら、人が人を思い、憎み、傷つけ合う物語になっていきそうです。
そのあたりは『少年のアビス』の作者である峰浪りょう先生の魅力も感じられ、今後の展開への期待が膨らむ第1巻となっていましたよ。
今回の記事では、そんな『山劇』の第1巻の見どころを、感想も含めてまとめてみました。
ネタバレを含みます。ご注意ください。
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『山劇』のあらすじ
以下に『山劇』のあらすじを載せておきます。
山に囲まれた田舎町。
高校生の笹埜美駒にとって、山は唯一の居場所だった。
祖父が死んで遺した、あの山が。ある日、素性の知れない仮面の男が山に出入りしていることに気づく。
静かだったはずの山が、ざわめき始める。
或る山に渦巻く愛憎の物語、開幕――。
『山劇』1巻(1話〜7話)の見どころ&感想[ネタバレ]
それでは、さっそく『山劇』第1巻の内容に入っていきましょう。
笹埜美駒は祖父との思い出の山を両親に勝手に売られてしまう…
美駒にとって、祖父が遺した山は特別な場所です。
幼い頃から祖父との思い出が数多く残っており、祖父からも「この山はいずれお前のものだ」と言われていました。
しかし、その山を両親が美駒に相談することなく売ってしまったようです。
その山を購入したのが、素性の知れない仮面の男でした。
そこで美駒は、幼なじみの紅葉と露鹿と一緒に、男の様子を見に行くことになります。
露鹿は配信者ではないかと予想していましたが、男に撮影をしている様子はなく、ただ山の中で小屋を建てているだけでした。
大きな紅葉のような仮面で顔を隠しながら、山の中で一人、山小屋を建てていました。
あまりにも不審な姿に紅葉が怖くなってしまい、その日は3人で山を下りることに。
それでも美駒は、山を取り戻したい気持ちと、退屈そうにしている紅葉の気を引きたい気持ちから、仮面の男の正体を暴こうと提案します。
紅葉も露鹿もあまり乗り気ではありませんでしたが、美駒は男から山を奪い返すと宣言し、再び一人で山へ向かいます。
祖父との思い出が詰まった山を、知らない間に売られてしまった美駒。
そんな美駒が山を取り戻そうと動き始めたことで、物語も本格的に進み始めます。
美駒、紅葉、露鹿の間に渦巻く複雑な感情
美駒、紅葉、露鹿の3人は、小学生の頃から一緒に過ごしてきた幼なじみです。
しかし、高校生になった現在、3人の関係は以前とは大きく変わっています。
学校でも美男美女と言われている紅葉と露鹿は、現在付き合っています。
美駒は紅葉のことが今でも気になっているようですが、美男美女の2人に対して引け目も感じており、そんな学校生活から逃れるように山へ通っていたようです。
ただし、紅葉と露鹿も、周囲から見えるほど良好な関係ではありません。
紅葉は露鹿と付き合っていながら、日々に退屈を感じているようなことを口にしています。
一方の露鹿も、紅葉を「女王様」と表現しており、どこか距離を置いたような態度を見せていました。
美駒は、退屈だと話していた紅葉の興味を引こうと、再び山へ誘います。
しかし、仮面の男を見て怖い思いをした紅葉は乗り気ではありません。
そこで美駒が「そのときは俺が守る」と伝えると、紅葉は「あなたに守ってもらうために危険な場所へ行かなければならないのか」という、棘のある言葉を返します。
さらに、紅葉は露鹿の姉の元夫に対して、媚びを売るような態度を見せる場面もありました。
第1巻の時点では、紅葉の言動に少し引っかかるものがありますね…。
美駒も、紅葉がSNSに投稿した山の写真を見て、「自分の山を勝手に映えのために使うな」と苛立ちを見せていました。
美駒は今でも紅葉のことが気になっているようですが、一方で、山への思いを理解していない高飛車な女性とも感じているようです。
紅葉は露鹿との日々に退屈を感じており、美駒に対しても強い興味があるようには見えません。
露鹿は、美駒が紅葉を好きだったと知りながら彼女と付き合ったことに、引け目を感じているようにも見えます。
3人がお互いを完全に嫌っているわけではありません。
それでも、それぞれが相手に対して言葉にするほどではないモヤモヤや、マイナスの感情を抱えています。
この一筋縄ではいかない3人の人間関係が、今後どのように変化し、崩れていくのかが気になるところです。…。
美駒が仮面の男と接触!?そこから事態は予想外の展開に!
後日の雨の日、美駒は一人で、仮面の男が山小屋を建てている場所へ向かいます。
そこにはビニールシートがかけられており、その中央が人の形に膨らんでいるように見えました。
美駒は事前に、山を買った男に関する情報を村の人から聞いています。
男は妻からDVを受け、その際に負った傷が顔に残っているため、仮面を着けているという話でした。
また、男が泊まっていた旅館の人からは、山小屋を建てているのは妻の死体を隠すためではないかという憶測も聞かされています。
その話を知っていた美駒は、ビニールシートの下に死体がある可能性を考え、スマートフォンで録画しながら、おそるおそる近づいていきます。
そしてビニールシートを勢いよくめくると、そこに横たわっていたのは、仮面を外した状態の男でした。
ただし、男は死んでいたわけでも、何かを隠していたわけでもありません。
テントを持っていなかったため、ビニールシートの下で寝ていただけでした。
この出来事をきっかけに、美駒は仮面の男と話すようになります。
男の名前は葡萄原大騎という名前で、もともとは新宿のタワーマンションに住むほど裕福でしたが、妻からのDVで顔に傷を負い、以前のように働くことも難しくなったという過去を背負っているようです。
そんな状況から、山の中に一人で暮らすための小屋を建てている彼に対し、美駒は「夏でも夜は冷え、イノシシやクマも出るため、山を甘く見ないほうがいい」と注意します。
しかし葡萄原さんは、最悪の場合はいつ死んでもいいと笑っていました。
美駒は当初、自分から山を奪った相手として、葡萄原さんに嫌悪感を抱いていました。
ところが葡萄原さんが、この山には包み込むような優しい雰囲気があり、きれいで一目惚れしたと話すのを聞き、思っていたほど悪い人物ではないのかもしれないと感じ始めます。
後日、美駒は家族が食べずに捨てようとしていたイノシシ肉を持ち、葡萄原さんのもとを訪れます。
そして、一緒に肉を食べないかと誘いました。
ここからは、美駒と葡萄原さんの2人による会話が中心となります。
会話の中では、葡萄原さんの秘密や思いが語られるだけでなく、美駒も葡萄原さんの言葉をきっかけに、自分の心の内をさらけ出していきます。
第1巻後半で交わされる2人の会話は、第2巻以降の展開にもつながりそうな重要な内容です。
2人がどのような話をしたのかは、ぜひ絵と一緒にご自身で読んでみてください。
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まとめ
『山劇』第1巻は、山を舞台にしたサスペンス作品だと思って読み始めました。
しかし、実際には事件や謎を追いかけるというよりも、人間の奥底にあるドロドロとした感情を描いていく作品なのだと感じました。
仮面の男についても、第1巻の段階で正体や山に来た理由がある程度明らかになります。
もちろん、葡萄原さんが話したことがすべて真実なのかは分かりません。
それでも、仮面の男の正体だけを謎として引っ張っていく展開ではなさそうです。
また、山には女性の死体が埋められており、夜になると幽霊が出るという話も登場します。
ただし、現時点では、その秘密を追っていくことが物語の中心になるようにも見えません。
サスペンス要素だけを期待して読むと、少し想像していた物語とは違うと感じるかもしれません。
一方で、美駒、紅葉、露鹿の3人が抱えている複雑な感情には、今後の物語を大きく動かしそうな危うさがあります。
恋愛感情、劣等感、退屈、引け目のような、それぞれが抱えている感情が、葡萄原さんの登場によってどう変化していくのかが気になります。
そんな3人の関係が、葡萄原さんが山に現れたことをきっかけに、どのように変化していくのかが気になります。
そして、冒頭に描かれていた、血まみれの男性らしき人物が紅葉した葉に覆われていく場面が、今後の展開にどのように繋がっていくのでしょうか?
より盛り上がっていくであろう、次巻の展開に期待が膨らみます。
『山劇』2巻(8話〜)の発売日はいつ?
続く8話以降が収録された『山劇』第2巻の発売日はまだ未定のようです。
今から続きが待ち遠しいですね。
以上、『山劇』第1巻の見どころ&感想記事でした。
ありがとうございました。
