[ネタバレ注意]『サユリ』完全版｜おばあちゃんが霊を地獄に送る映画化もされた最恐の進化系ホラーマンガ！
今回は、『ハイスコアガール』や『ミスミソウ』の作者である押切蓮介先生が新たな切り口で描く進化系ジャパニーズホラーマンガ『サユリ』、その完全版の見どころ&感想記事です。
（※ネタバレを含みます。）
その表紙がこちら。
表紙にボヤッと描かれている少女が、タイトルにもなっている「サユリ」です。
このマンガでは“とある理由”で悪霊となり家に居憑いてしまった彼女が、新たに引っ越してきた神木家の家族を次々と襲っていくというホラー展開が描かれていきます。
これだけ聞くとありがちなホラーマンガだと思われるかもしれませんが、この作品の魅力は“その後”に描かれる「サユリVSおばあちゃん」にあります。
ちなみにこの「サユリ」は2024年8月に映画が公開され、以下の公式ホームページには作者の押切先生のこんなコメントが書かれていました。
今までのＪホラー映画で理不尽に散っていった人類の無念、僕はもう我慢の限界だ！
霊に負けに負ける負け戦映画はもうこりごりだと思う人には是非観てほしい！
霊に立ち向かえ！怒りに怒れ！バカになれ！！
つまり、後半ではおばあちゃんが悪霊であるサユリに勝ち戦を仕掛ける展開が描かれていくのです。
はたして押切先生は負け戦がテンプレ化したジャパニーズホラーをどのように進化させたのでしょうか？
今回の記事では、そんな『サユリ』完全版の見どころを、感想も含めてまとめてみました。
ネタバレを含みます。ご注意ください。
もくじ
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『サユリ』完全版のあらすじ
以下に『サユリ』完全版のあらすじを載せておきます。
夢の一戸建てマイホームへと引っ越した神木家。
しかし、家族7人揃ってのありふれた幸せを満喫する間もなく次々と不幸で不気味な出来事がこの一家にふりかかる。
悲劇を引き起こしたのは、この家に棲む“少女の怨念”。
ひとりまたひとりと家族が死んでいく中、残された少年と老婆の逆襲が始まるが……⁉
引用：『サユリ』完全版裏表紙より
『サユリ』完全版の見どころ&感想[ネタバレ]
それでは、さっそく『サユリ』完全版の内容に入っていきましょう。
夢のマイホームへ引っ越した神木家に異変が現れる
あらすじにもあるように、この物語は神木家が一戸建てマイホームへと引っ越したところから幕を開けるのですが、その直後からさっそく異変が現れていくようになります。
最初は父親が引っ越してからあまり寝付けなくなったと言い出し、数日後の朝には心筋梗塞ですでに息を引き取っていました。
そこから寝込みがちになったお姉ちゃんの突然の狂乱、「死にたくない」と言いながら庭で倒れたお爺ちゃんの入院など、異常事態が次々と起こっていったのです。
他にも次男の俊が夢で苦しむお父さんを見ていたり、そんな家族の状況にお母さんが疲れ果ててしまったりと、もはやまともに家族生活を送れるような状況ではなくなっていっていました。
読む前は『サユリ』というタイトルからジャパニーズホラーのようにじわじわと怖がらせてくるのかと思っていたのですが、このスピード感で家族が壊されていくのは完全に予想外でしたね…。
しかしこれらはほんの序の口、ここからさらなる不幸が神木家を襲うことになります。
神木家の家族が次々とサユリに殺されていく…！
父親が亡くなってからの神木家は異変が起こるばかりでしたが、いよいよサユリの魔の手は家族の命に手をかけていきます。
次男の俊はみんなが寝静まっている夜中に、靴を残して寝巻き姿のまま姿を消して行方不明に。
おじいちゃんは入院から帰ってきて家の敷地内に一歩足を踏み入れた途端“心不全”に。
お姉ちゃんは居間で長男の則雄と一緒にいる時に、いきなり舌を噛み切って血を吐きながら庭へ。
そしてそんな状況に耐えかねたお母さんは、「疲れちゃった」と言って首を吊って自殺してしまったのです。
そうして神木家には、ボケているおばあちゃんと則雄の2人だけが残されてしまいました。
これらの出来事がこの家に引っ越してきてから1ヶ月と少しの間に起こったなんて、あまりにも絶望的ですよね…。
また上記では淡々と書きましたが、それぞれのシーンが押切先生の画力によって非常に恐ろしく描かれており、脳裏に焼き付き夢に出てきそうなインパクトを持っていました。
しかしこのやられっぱなしで終わらないのがこの『サユリ』であり、ここからおばあちゃんによる反撃の時間がやってきます。
大切な家族を奪われたおばあちゃんが復讐を開始する！
記事の冒頭でも書いた通り、神木家でサユリに復讐をしていくのは長男の則雄ではなく「おばあちゃん」です。
これまですっかりボケてしまっていたおばあちゃんでしたが、家に息子（神木家の父）の遺影があることや他の家族がいないことに気づき、目が覚めたように昔の気迫を取り戻します。
そして「サユリに報いる武器は生命力じゃ」と言って、則雄に外に出て毎日走ってしっかり食べて、よく活きて命を濃くするよう伝えていました。
しかしそれでも少しでも弱気になり心に隙を作ったらそこを突いてくるサユリ。
そんな彼女の霊障を根本から取り除くために、物語の後半でおばあちゃんは予想外すぎる驚くべき行動に打って出るのです。
はたして、おばあちゃんは則雄を守り切り、この家からサユリの脅威を取り除くことができるのでしょうか？
最後まで予測不能な展開が繰り広げられるこの『サユリ』のクライマックスは、ぜひ絵と一緒にご自身の目でご覧ください。
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まとめ
この『サユリ』は押切先生の絵の勢いとストーリー展開が絶妙にマッチした、押切先生にしか描けないホラーマンガだと思いました。
結果的には完全にハッピーエンドとはならないもののの、ホラーマンガを読んで読後にスッキリ感を味わえたのは初めての体験でしたね。
ちなみにこの「完全版」には『サユリ』の1.2巻にはなかった「ババア無双」に拍車をかける書き下ろしエピソードが収録されているので、すでに1.2巻を読んだ人にも手に取ってもらいたいです。
また、2024年8月に公開される映画は予告を見る限りでは同じストーリーでもマンガと違ったテイストが楽しめそうなので、そちらも映画ならではの演出も含めて非常に楽しみです。
暑い夏にゾクっとさせられるホラー要素と、爽快感すら感じられる後半のストーリー展開の組み合わせが唯一無二のこの『サユリ』。
ぜひマンガでも映画でも楽しんでみてください。
以上、『サユリ』完全版の見どころ&感想記事でした。
ありがとうございました。
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