[ネタバレ注意] 阿部共実『月曜日の友達』|白黒で描かれるカラフルな青春物語[感想]
今回は2018年の『このマンガがすごい!』オトコ編第4位にランクインした、ちょっと変わった中学生の青春を描いたマンガのご紹介です。
そのマンガがこちら。
『月曜日の友達』です。
この作品の描いた阿部共実先生は、2015年の『このマンガがすごい!』オンナ編第1位の『ちーちゃんはちょっと足りない』の作者です。
僕はこの先生の作品を初めて読んだのですが、独特なタッチと幻想的な絵で一気に引き込まれてしまいました。
そこで今回の記事では、この不思議な青春マンガ『月曜日の友達』の見どころを、感想も含めてまとめてみました。
ネタバレを含みます。ご注意ください。
もくじ
『月曜日の友達』のあらすじ
以下に『月曜日の友達』のあらすじを載せておきます。
みんなが少しずつ大人びてくる中学1年生。
そんな中であどけなさが抜けない女子・水谷茜。水谷はひょんなことから「俺は超能力が使える!」と
突拍子もないことを言う同級生の男子・月野透と
校庭で会う約束をする。決まって月曜日の夜に。大人と子供のはざまのひとときの輝きを描く、
まばゆく、胸がしめつけられるガールミーツボーイ物語。
なんとも興味をそそられるあらすじではありませんか?
それでもこの作品は、きっとその期待を裏切ることはありませんよ。
では、さっそく内容の方に入っていきましょう。
『月曜日の友達』の見どころ
大人でも子供でもない“中学生”と言う存在
このマンガの主人公・水谷茜は動物が好きで、UFOが好きで、体を動かすことが好きな中学1年生の女の子です。
物語の途中で彼女と“友達”になる月野透は普段は無口な性格ですが、超能力が使えると信じきっている男の子です。
2人とも、周りのどんどん大人びていく中学の同級生からは少し浮いてしまっています。
そんな、まだ大人になりきれていない、子供っぽさが残る2人が出会うことによって、物語は進んでいきます。
そんな自由奔放さ、自分の好きなことを自信を持って「好きだ」と言える素直さに、どこか羨ましさを感じてしまいました。
主人公・水谷茜の詩的な表現
言動にはまだまだ無邪気さや子供っぽさが残っている水谷さんですが、頭の中で巡らせる想いはとても詩的な表現をします。
朝。灰色の校舎 黒い頭の群れ 紺の制服。生徒の喧騒と、土のにおいにまじるライラック。春。今日も学校が始まる。
作品の中にさらっと、そして何度も登場するこのような表現には、思わず目を止めて読み込んでしまいます。
作中に小説のようなものを読んでいるシーンが描かれているのですが、この豊富な語彙はその賜物でしょうか。
今時の中学生の繊細な気持ちが綿密に描かれていました。
白黒のマンガに色が灯ったかのような描写
作中には、表紙にもあるカラーボールのようなとてもカラフルな小物がいくつか登場します。
それが、白と黒だけのマンガの世界でとても鮮やかに描かれています。
水に浮かぶカラーボール、後ろに大きく描かれた満月、とても幻想的な一コマです。
小説でも映画でもない、“マンガ”という作品のもつ素晴らしさが伝わってくるような気がしました。
まとめ
このマンガを読んでいると、つい自分の中学生時代のことを思い出してしまいました。
僕はどちらかと言うと水谷さんの周りの人のような、どこか自分を押さえ込んだような中学生でした。
だからこそ、このマンガに惹かれたんだと思います。
このマンガは2018年2月14日の時点でまだ1巻しか発売されていません。
(2巻は2月23日発売のようです。)
無邪気な青春時代を思い返してみたい方は、ぜひ気軽に手に取ってみてください。
では、ありがとうございました。
<追記>
『月曜日の友達』第2巻(最終巻)が発売されました。
その感想記事はこちらです↓
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